慟哭

オンギャ〜 オンギャ オンギャ

人は、大泣きしながら、丸裸で生まれまする!
目いっぱい、親に身をまかせ、迷惑をかけながら、支えられて成長してゆきます。

成長するにつれて、勉強して、経験して、
常識を身にマトイ、大人になってゆくのですね!

大人になるのは確かに成長ですが・・・
ある意味、大切な何かを捨て去る作業のようでもあります。


風炎オヤジは、頬につたわる涙は流れても
ここ何十年、いわゆる
大泣きというものは、忘れてしまいました。

大男だから、泣くのはカッコ悪いという、観念が
何処かに植え付けられております!


先日、TVトーク番組での事・・・

「女は辛い時、大泣きする事で、心の整理、
次の一歩の準備をしている。」
「涙が枯れると、スッキリ爽やか、夢と希望が沸いてくる・・・」

芸能界の
大女、和田アキコ様が、話しておられました。

う〜ん! なるへそ!


確かに、
泣けない男は、失恋一つにしても・・・ あの別れ道の、あの一言、あの後姿・・・
後悔でもないのですが・・・ いつまでも、
引きずっているものなのです。
女は、とっくに、飛び立っているのに・・・

真に女々しいとは、男の為にある、言葉でがんす!

この年になりますと、メクルメク、新しい出逢いは求めませんが・・・
あの時の、あの人に、あの街角で、偶然に
再会してみたい、願望はあります!

ワシが二枚目なら、TVドラマのような再会も似合いますが、今の○○では・・・


風炎オヤジには、兄がおりますが、年が離れておりますので、
幼少期は、一人っ子に近い、過保護な環境で育ちました。

ワガママで、
泣き虫でありました。
泣くまいと思っても、勝手に溢れてくるのであります。


いつの日からでしょうか? 涙を忘れて、しも〜たのは・・・


風炎キッズの次女、咲子は、オヤジの母校、加計小学校に通い、今春、
卒業しました。

数年前まで、御世話になりました、校長先生は、
今は昔、オヤジの小学生時代の4・5・6年の、担任の先生でした。
他にも数名、御世話になりました先生が、おられました。


広島市内の親戚の家で、飼っておりました
プレーリードッグが、飼いきれず
何処か、田舎の学校にでも、寄付出来ないものかと、頼まれました。

キッズは生き物係りで、ウサギの世話をしておりましたので、学校に相談してみました。

後日、いろいろ手配して頂きましたが・・・
校長先生が、お断りを言う為に、わざわざ風炎工房まで、お越しくださりました。


残念ながら、学校での運動会や授業参観には、出席できておりませんでしたので
久しぶりに、
懐かしい昔話をさせて頂きました。


カ〜サンや、キッズの前で、風炎オヤジが卒業式で、
大泣きした事を話されますので・・・
いつもは、偉そうで怖い、オヤジの
威厳が、見事に崩れ去りますた!


思い起こせば・・・
いつもと同じ朝、いつもの道を、いつものように登校、そして、いつものように教室に入りました。

紅白
のテープ、チリ紙で作った花で、飾られた黒板の大きな文字は、
紅白のチョークで、担任の教師が、書かれたものでした。

☆ 皆さんの
門出を祝います ☆

瞬間! いつもと違う風景に・・・ 溢れてきました。


あれが
歴史上、最後の、風炎オヤジの大泣きで御座いました。


人は泣きながら成長するならば、ここ何十年は成長してないのかもしれません!

次に大泣きする時は、自分が逝く時かもしれませんのう!


慟哭
(どうこく)=悲しみのあまり声をあげて激しく泣くこと・・・

この言葉に出会ったのは、数年前の、某歌手のコンサートでありました。
某歌手の訳詞で「慟哭」、原曲「カルーソー」であります。

カンツオーネらしい、朗々としたメロディーは強く、深く
に染み渡るものでした。


テノールの大歌手、エンリコ・カルーソーが逝くとき
アメリカでコンサートツアー中の、ルチオ・ダルラが悲しみのあまり、
即興で作った曲であります。

古い歌ではありませんが、クラシック・スタンダードに、なりつつあります。
パバロッティ、ミルバ、ボッチェリ・・・ 多くの歌手によって歌われております。

風炎オヤジの、
葬送の曲と、決めているのですが・・・


風炎オヤジの、陶芸の道の
故郷、最初の倉敷の師匠が、先日、亡くなられました。

祭壇の写真は、御世話になりました、あの頃と同じ、
グレーの作業着でありました。
地位、名誉を求めず、民芸一筋、仕事一筋の一生でした。


葬送の曲は愛しておられました、モーツアルトでした。
愛車、スバル・サンバーの、カーステレオは、いつもこれで、大音量!

修行当時は、工房住込みでしたので・・・
毎朝、師匠が来られるまでには、
掃除を、終えておくのですが・・・

布団の中・・・ モーツアルトで、目覚めた事・・・ 数回!
大遅刻で御座いました。


葬送のモーツアルトの想い出は、
胃液が染み渡るものになりました。

心より御冥福を御祈りいたします!

ロクロを回しながら・・・ いいかげんな自分を反省しながら・・・ 心で慟哭しております!


PS

「悲しかったか? 何人、泣いたか? 唸ったか?」  卒業式を終えた、キッズに尋ねますた!
「ちょっと悲しかったけど、泣かんかった!」 「先生が
大泣きした!」

そうか! う〜ん!

威厳
にコダワル、風炎オヤジは、つまらん大人になってしまいますた。
この先は、
進行中のボケに、期待するしかありまへん!

やがて・・・ 何時の日か・・・ オヤジの鬼の目にも・・・

うれし涙
、ながれるままに・・・ ボケルにまかせ・・・ 夢の世界へ・・・




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