■VOL・118  もののけ姫   
2006/12

戦艦大和 風土記の丘 フラガール

☆師走だというのに、ブチクソ忙しい・・・

頑張っても、頑張っても、頑張っても・・・ スグ疲れてしまうのは、中年オヤジの体力で、
悩んでも、悩んでも、悩んでも・・・ スグ忘れてしまうのは、中年ボケの始まりで、
走っても、走っても、走っても・・・ スグ追い越されてしまう、今日この頃・・・


振り向けば・・・

今年の6月に「太田川クラフトフェスタVOL・2」は終わりました。

動員と売上がチト切ないにもかかわらず、
来年に向けて、出展者を30名に増やすという強気の作戦を企てております。

 ※ブツブツコーカンという名の、ヘンテコ企画
 ※アンケート逸品プレゼントという名の、ハッピー企画
 ※モノツクリの歴史展という名の、インテリ企画

スポンサー、行政、旅行社、印刷屋、商工会、観光協会、教育委員会、会場、新聞社・・・
何故そんなに走るのかといえば、鬼も笑うような来年への根回し・・・
走リながら悩んでも、ゴールは見えない・・・

それなりに休みながら、頑張るしかありまへん!



☆遥か瀬戸内海を見つめれば・・・

何やら、呉や尾道のほうでは、沈没したはずの戦艦大和が甦り、
「大和ミュージアム」が建設され、
さらに、映画「男たちの大和」のロケセット公開で観光客があふれかえり、大渋滞とか・・・

戦艦大和はある意味、モノツクリの結晶ですが、
巨大であるがゆえに、小回りの利かない悲しさがあり、実戦は少なく、
大和魂のシンボルであるがゆえに、自決同然の終焉を迎え、尊い命が犠牲となりました。

現代兵器の核爆弾は巨大化する一方であり、
ゲリラ&テロといった戦法も細密化しており、大国の利権とエゴが見え隠れしている。

戦争とはカッコイイものではありませんし、その記憶も風化してゆくばかり・・・
歴史の真実を強力にアッピ〜ルする展示を、一考して頂くべきだと思います。


「クラフト包囲網」

昨年の、中国新聞記事のキャッチコピーですが、
「大和ミュージアム」に併設された市民ギャラリーと、
呉市内のギャラリー4会場が連帯して、クラフトイベントが開催されました。

今年は、8会場となり、さらに進化している様子・・・

実は、今年の「太田川クラフトフェスタ」で、流域4会場を繋ぐ同じアイディアを強行しましたが、
お客様にすれば、公共交通が不便で、マイカーのガソリン代もかかり、道も解り辛い・・・
実行委員会は、仕事が一人に偏り、地域のシガラミもあり、沈没したのであります。

う〜ん!

追い越された感じがしなくもない・・・

戦艦大和の包囲網には完敗ですが、
ワシラは実行委員会を立て直し、再び地平線を見つめるしかありまへん!



☆遥か紅葉の中国山地を見つめれば・・・

何やら、三次の「風土記の丘」では、たたら製鉄の企画展が始まっており、
文化財講座が2回も開催されるそうで、
その題目は、「もののけ姫にたたらを読み解く」「製鉄はいつ始まったのか」である。


「鉄ロード」

国土交通省のキャッチコピーですが、
尾道〜三次〜松江間には高速道路が建設中であり、
山陰の周辺自治体は鉄の資料館を整え、観光客の増加を当て込んでいるらしい。

実は、来年の「太田川クラフトフェスタ」の企画で、流域の「たたら製鉄」の歴史をホジクリ返し、
「もののけ姫」を活用した展示を画策していたのであります。

う〜ん!

追い越された感じがしなくもない・・・

大学教授の講義には完敗ですが、
太田川の筏による水運が、モノツクリ産業とデルタ都市を成立させたという、
雄大な水平線を見つめるしかありまへん!



☆そのデルタの上のシネコンでは・・・

「フラガール」

昭和40年、福島の常盤炭鉱が閉山・・・
炭鉱夫はツルハシを楽器に変えて、その娘達はフラダンサーとなり、ハワイアンセンターの運営・・・
地域おこしのスゴイ発想転換という、実話映画が大ヒットしました。

地域の絆と、アイディアと、実行力は素晴らしく、静チャンの汗は美しい・・・

バブルが消えて、財政難に喘ぐ自治体は、安易なハコモノ観光に向かい、
昨今では、第三セクターの破綻が始まっている・・・
この映画にはひとつの道標が示されているのであります。


振り向けば・・・

実は、クラフトフェスタ運営にまつわるシガラミ&人間模様&地域おこしの映画製作を、
三谷幸喜氏に依頼する事を、本気で画策していたのであります。

う〜ん!

追い越された感じがしなくもない・・・

胸騒ぎのフリフリには完敗ですが、
忘年会でいくら飲んでも、飲酒運転と浮気はいたしません・・・
何故なら、イベント運営費すら枯渇しておりますもので、罰金とヘソクリがありまへん!

走っても、走っても、走っても・・・ スグ追い越されてしまう千鳥足のフラオヤジですが、
疲れた夜には、静チャンの笑顔で癒されたい・・・


パンフ 中国山地 フイゴ(模型)

思うに・・・

中年オヤジになりますと、
追い越す事をあきらめ、やがてボケ始め、昨日よりも昔の記憶が鮮明となり、
祖先や歴史に興味が涌き、生きる意味を再確認するようになる・・・



☆歴史の扉を開くために、中国道を走る・・・

「風土記の丘」

広島県北の三次盆地には、JAPANで一番多くの古墳が発見されており、
「風土記の丘」には、県立の民俗資料館や、古墳や住居が再現され、公園として整備されております。

始めて訪れたのですが、年代を追って沢山の資料が展示されておりました。

中国山地に抱かれた三次盆地は、霧の雲海が有名ですが、
ここを流れる江の川は、山陰に向かって日本海に注いでおりますので、
出雲文化の影響が色濃い土地柄といえます。


「たたら・中国山地の鉄と人」

弥生文化といえば、稲作と土器ですが、「たたら製鉄」の始まった時代でもあり、
その企画展が開催されました。

たたら場やフイゴの模型、資料が展示されており、
目玉展示の「加計隅屋の絵巻物」は、江戸期の資料で、我が町からの貸し出しである。

たたら製鉄は、朝鮮半島から日本海を渡り、九州や出雲に伝承したのですが、
その源流は、JAPANという国の概念が始まった頃の、神話の時代にまでサカノボル・・・

「たたら場」は、世間と隔離された山中での、過酷な労働環境であり、
山を掘って砂鉄を採取し、大量の森林を伐採して炭を焼き、技法は秘伝とされ、謎も多い・・・

太田川上流域でも生産され、鋳物や針の素材として、モノツクリ産業を育んだ歴史があります。



☆歴史の扉はチト重たい・・・

「もののけ姫にたたらを読み解く」

記念講演会に参加させて頂きましたが、多くの参加者があり、多くの発見がありました。

 ※パワーポイント(スライド)に使用する静止画でも、ジブリの許可が必要である。
 ※「もののけ姫」は誇張があるにせよ、かなりの時代考証がされている。
 ※「たたら場」の作業風景はリアルであるが、実際は女人禁制であった。
 ※「たたら場の城壁」は誇張されているが、権力者と対等に交える企業集団であった。
 ※自然破壊は顕著であるが、30年単位でリサイクルを考えた森林伐採がされた。
 ※炉やフイゴ等の技術は、中国山地で独特に進化した。
 ※江戸期の中国山地一帯の産出量は、JAPANの8割以上であった。
 ※定住稲作文化とは異質の文化であり、謎が多い。


最後に質問コーナーがあり、宮崎アニメのオタクらしい若者からの質問。

 「映画の中の、公害病や差別に対しての解釈は・・・?」

教授いわく・・・

 「その点は確かにあるのですが、今回の講演のテーマではありませんし、
  不思議な事に、古文書が出てきませんので、正確な事が申し上げられません・・・(大汗)」


う〜ん!

確かに、歴史には禁断の扉があるようで、
地域おこしやイベントで利用する場合、注意が必要であると認識させられました。


振り向けば・・・

人は誰でも、秘密のひとつくらいはあるもので、
どんなオシドリ夫婦でも、結婚前の愛の遍歴はタブーであり、オヤジの「ちょっとだけよ」もタブーである。

子供のように笑いながら、何も無かったかのように暮らすのが、人の知恵と年輪であり、
深入りすると、愛の扉はアヤシク苦しいものに変わる可能性がある。


う〜ん!

ワシの場合、子供のように笑うと気持ち悪いですので、ボケるしかありまへん!


もののけ姫 原生林

思うに・・・

「もののけ姫」は、10年くらい前に、家族で観たのですが、あまり覚えていない・・・
映画館の暗闇は苦手であり、いつも寝てしまうのであります。

ネットで検索しますと、
大学の教授の研究論文や、地域おこしのコーディネーターの資料にもなっているので、
単なる娯楽アニメではありまへん!

善悪が不明瞭であり、ヒーローも極悪人も不在であり、結論が見えにくい・・・
レンタルDVDで4回も観たのですが、確かに難解でがんす!



☆風炎オヤジによるモノノケ解説

 ※時代設定

  室町中期 南北朝 動乱期 中国山地

 ※主な登場者

  人間         権力者(アサノ)・農民・職能集団(エボシ)・商売人・被差別民・・・
  モノノケ       犬神軍団・イノシシ軍団・シシ神・木霊・ダイダラボッチ・・・
  人間+モノノケ   もののけ姫・ヤックル(家畜)
  コーディネーター  アシタカ(東北からのヨソモノ)

 ※内容

  争いが絶えない時代に、権力者は当時の先端素材である鉄の利権を求める。

  職能集団は、温情のある経営理念と、秘伝の技で、自らの利権を守る反面、
  自然破壊で神の秩序や動物達の生活を脅かす。

  追いやられたモノノケの世界も、種族争いが絶えない状況である。

  旅の途中で、混沌とした状況に出会ったアシタカは、
  コーディネーター(調整役)を試みるが、不調に終わり、戦いが始まる。

  やがて、多くの犠牲を払って戦いは終わり、新たな時代が始まる。

  もののけ姫とアシタカは、お互いに恋愛感情が芽生えるが、
  お互いの背負った生い立ちを尊重し、時々逢う事を約束して、それぞれの世界に戻る。

  世界は、多様な価値や地域や派閥や民族や宗教や情が絡み合い、
  争いが絶えないのは現代も同じである。

  時代の変り目は、多くの犠牲を伴うが、
  アシタカのように、諦める事なく努力して、理想世界を求めるべきである。

  混沌とした現代へのメッセージが読み取れる。



☆風炎オヤジによる地域おこしの現状

 古くからの土地のシガラミ・・・
 市町村合併で生まれたシガラミ・・・
 組織の利権からくるシガラミ・・・
 職人の自尊心からくるシガラミ・・・

「太田川クラフトフェスタ」の運営で、
イロイロなお立場の方々と、お会いする機会が増えており、
モノノケにも負けないシガラミと、コーディネーターの難しさを感じております。


思うに・・・

違った価値観をひとつにするのは至難で、時の流れも必要・・・
押し付ける事なく、個人の考えを尊重し、無理の無いところで交わる・・・
相手を敬う謙虚な姿勢は基本である・・・
本音をぶつける、大人の喧嘩は大切でがんす!

中途半端な陶芸家は、農村集落からみればヨソモノであり、
派閥も利権もなく、公平中立を貫いてイベント運営をしておりますが、
それはバカにしか出来ない事でがんす!

何故なら、シガラミも、ボンビーも、大恥も、大失敗も怖くない・・・
亥年生まれの、猪突猛進のDNAは変えられない・・・
イノシシ軍団や戦艦大和の、ケジメの自決には血が騒ぐのだ!


う〜ん!

銭への過信、政治の腐敗、過疎地の疲弊、イベントの意味、モノツクリの生き方・・・
JAPANは大きな過渡期を迎えております。

走っても、走っても、走っても・・・ スグ追い越され、スグ沈没したとしても・・・
小さな道標が残せそうな気がしております。


PS

下の画像は、実際の「たたら製鉄」の副産物として捨てられた、
不純物の多いカナクソと言われるもので、
山からホジクリ出したものですが、軽石よりも硬く、石よりも柔らかい感じです。

釉薬の原料にならないかと、試しに窯で焼いてみますと、
素焼き800℃で不純物が燃えてアナポコが増え、1260℃で解け始めて角が丸くなり硬くなりました。

200年ぐらいは、山で眠っていたのですが、殆ど錆びてないのが不思議でがんす!








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