English by google(自動翻訳) |
日本の戦後復興期、テレビが一般的でなかった頃、紙に書いた手描きの絵を木の額縁にスライドさせながら、語りながら、街頭で演じていました。 |
この手法は「紙芝居」といわれるもので、アニメーションのDNAであり、日本独特の大衆文化でした。 |
広島の産業ツーリズムを解り易く伝えるために、WEBプレゼンテーションとして整えました。 |
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作画:いくまさ鉄平 文:林俊一 1 NA) 【奥安芸の鉄物語〜オソラの星】 始まり〜始まり〜 これは、昔、昭和33年まで、安芸太田町にあった【帝国製鉄加計工場】です。 その跡地で開催中の、「しわいマラソン」の会場から、この物語は始まります。 |
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2 | ||
NA) 温井ダムを夜明まえにスタートし、 安芸太田町の全域をまわる100kmのコース。 |
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ゴール直前に、温井ダムバックヤードの長い階段を登るという、とんでもなく過酷なマラソン大会です。 | ||
あれえ? | ||
会社の新人研修で、いやいや参加している”正夫くん”は、歩いているようにしか見えませんねえ。 | ||
正夫) あっはあ〜〜 も〜ダメ・・ 先輩、先に行ってくださいよ〜 | ||
3 | ||
正夫) ふう〜〜〜〜〜 こりゃ、ブラック企業だわ。 (←不満) | ||
かっこいいスーツを着たのは入社式の時だけ。 毎日、毎日、汗まみれ。 もう、こんな会社は辞めたいよ〜 |
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あれっ? | ||
ここは、小学生の頃、迷子になった場所と、似てるなあ〜 | ||
もしかして・・・ | ||
4 カナメ) やっほ〜 正夫くん。 こっちよ〜 (←元気に) 正夫) やっぱり、カナメちゃんだ。 たたら製鉄のカナクソが、河原で丸くなったカナメちゃんの声だ。 山の上のほうから聞こえてくるのは、不思議だなあ?? NA) 正夫くんは、スキー場のゲレンデの芝生で一休み。 マラソンを放り出してしまいました。 |
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5 カナメ) 正夫くん 元気? 正夫) カナメちゃん。 久しぶりだね。 僕は今年、「鉄の会社」に就職したよ。 カナメ) そうなの。 覚えている??馬の背中に載せて運んでいた砂鉄や、炭焼き窯のこと。 正夫) もちろん。 だけど、今は時代が違うよ。 |
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6 正夫) 日本の製鉄は、外国からたくさんの”鉄鉱石や石炭”を輸入していて、 世界で2番目の生産量だよ。 (←自慢げ) 大量生産、大量消費、これも時代の流れということだね。 カナメ)正夫くん。 あまり知られていないけど、太田川上流でもイロイロあってね。 |
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7 カナメ) 山の中に捨てられていた「カナクソ」は、掘り出されて、 今では、「オソラ」の上の、そのまた上に隠れているの。 正夫) はあ? どうゆうこと?? NA) 山の天気は変わり易く、だんだんと暗くなってきました。 正夫が、あたりをキョロキョロした、その時です。 カナメ) 正夫くん。 カナメといっしょにタイムスリップしょう。 音) ババン バババババ〜ン (←衝撃的に) |
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8 | ||
正夫) ぎゃー カミナリかあ (←びっくり) | ||
カナメ) びっくりさせてごめんね。原生林を、ダイナマイトで切り倒しているの。 | ||
正夫) カナメちゃん。 木は、ノコギリや斧で切り倒すんじゃないの? | ||
カナメ) 今はね。 第二次世界大戦の真っ最中・・ 人間は、神として崇めていた”恐羅漢という山”を、壊し始めたの。燃料になる木炭を作るためにね。 |
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音) グォーー ブーブー | ||
カナメ) 正夫くん。 危ないわよ〜 | ||
9 カナメ) このトラックは、ガソリンじゃなくてね。 木炭を燃やして動く”木炭車”よ。 でも、坂道になったら、人が後ろから押さないと止まっちゃうの。 正夫) へえ〜そうなんだ。 あれえ? カナメちゃん。 荷台に載っている”黒い石コロ”は、カナクソじゃないの? カナメ) さすが正夫くんだわ。 よく解ったわね。 ねえ。 森の奥から、何か聞こえてこない?? |
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10 住民) 「鉄が無あで〜 ガソリンが無あで〜」 「捨てられたカナクソまで拾ろーて、ホンマにアメリカに勝てるんかいのう?」 「子供も手伝え エンヤコラ〜 学童疎開じゃ エンヤコラ〜」 「ありゃりゃ? 丸いカナクソじゃ。 こいつも連れてっちゃろ。」 NA) その行く先は、帝国製鉄加計工場です。 |
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11 NA) この製鉄所が建設されたのは、大正7年のこと。 外国の進んだ技術を導入し、たたら製鉄で捨てられていたカナクソを集め、木炭で再び燃やして”リサイクル”しようとしました。 しかし、最初から失敗が続いたために”閉鎖”されていました。 やがて、昭和になり、日中戦争や、第二次世界大戦が勃発しました。 |
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12 NA) ”鉄のモノツクリ”が盛んな広島や呉は、軍需産業の拠点になってゆきました。 帝国製鉄加計工場は、再び改修され、降って沸いたような忙しさに、見舞われたのです。 カナメ) 正夫くん。 中を覗いてみましょう。 カナクソ様がお待ちかねよ。 音) ゴーゴーゴー |
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13 | ||
正夫) わぁ〜〜 大きなレンガ煙突だ。 | ||
カナクソ) おお〜正夫。 久しぶりじゃ。 よく来てくれたのう。 | ||
正夫) カナクソ様。 すごいね。 | ||
カナクソ) これは角炉といってな。 たたら製鉄が進化したカタチじゃ。 上から、カナクソと木炭を”カワリバンコ”に落としながら、電力のフイゴで、強い風を送っておる。 炉の下からドロドロ流れ出ておるのが【鉄】じゃ。 |
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正夫) カナクソ様。 すごいね。 | ||
カナクソ) すごいといえばすごいんじゃがな。 まあ座れ。 でもなあ。 (←悲しそう) 山に捨てられていたカナクソが拾われて、戦争の道具に生まれ変わるのは「悲しい」ことじゃ。 |
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14 カナクソ) いきなりでスマンが・・ ワシは、もう、死ぬのが近い。 いいか。 これから言う事を忘れるな。 いいか。これから、激しく燃えたぎる溶鉱炉に、特攻する! 真っ赤になってトロケ出て、ゼロ戦の防弾鉄板になるんじゃ! そして、突入する! それが、ワシの運命じゃ! 正夫とカナメは、生き残って、考えてくれ。 「モノツクリと平和」 これがワシの遺言じゃ〜 (←ゆっくりと明確に) |
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15 正夫) カナクソ様、そんなのイヤだ〜 行かないで〜 わ〜〜 カナクソ) サラバじゃ! カッコ悪いが、やっぱり死ぬのは怖いぞ〜 ゆくぞ! うお〜〜〜 熱いぞ〜 熱いぞ〜 音) ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (←高音域〜低音域) ババババ〜ン ぎゃ〜 ・・・・・ (←衝撃的に) |
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16 NA) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (←しばらく無音) やがて、昭和20年8月6日のこと、広島に原子爆弾が投下されました。 そして、日本は戦争に負けてしまいました。 焼け野原になった広島ですが、それからしばらくすると、 【鉄】を使った”モノツクリ産業”が動き出して”戦後復興”が始まりました。 カナクソ様の予言どおりになりました。 |
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17 NA) 正夫は、長い間、夢の中を彷徨いました。 やがて、熱風と、騒音と、汗と、油の匂いに包まれていました。 気持ちが落ちついてくると、遠くから、職場の先輩の声が聞こえてきました。 ・・・・・・・・・・ 先輩) お〜い、正夫。 大丈夫かあ〜〜〜 |
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18 先輩) コースを間違えるとは、ドジじゃのう〜 スキー場で、ぶっ倒れとったとこを、運んできたんで〜。 仲間じゃけえのう。 (←愛情深く) NA) 元気になった正夫は、 温井ダムの脇の481段の階段をトボトボと登り、ゴールの様子を見ようとしました。 ところが・・・ |
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19 アナウンス) 会場の皆さん、いよいよ、最後の選手が、ゴールします。 音) パチパチパチ・・・ 観客) ええど〜 よう歩いたのう〜 しわいよのう〜 もちいとでゴールじゃあ〜 音) パチパチパチ・・・ |
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20 NA) 帰り道の途中、日が落ちて、満点の夜空に、「オソラの星」が輝いていました。 正夫) カナメちゃん、淋しいね。 カナメ) 正夫くん。 カナクソ様は、星になっちゃったわ。 ・・・・・・・・・・・・・ |
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NA) その後、職場に戻った正夫は、まるで別人のように、働きはじめました。 そして、広島のモノツクリ産業は、今も発展し続けているのです。 |
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