奥安芸の鉄物語 「オロチの正体」展  (企画案)

時 2014年 11月 五サー市の翌週

主会場 長尾神社

展示

    古仙斎絵馬 天井絵馬 木彫神楽面(長尾神社)
    加計隅屋鉄山絵巻レプリカ(教育委員会)

    オロチ衣装 神楽衣装 湯立神楽パネル(神楽団関係者)
    たたら資料(加計隅屋)

    紙芝居 キャプション(オロチと製鉄の関係) ガイディング(太田川アクティブアーチ)
    川舟パネル ガイディング(ラピッドカヤック)

    温井ダムに眠るオロチ伝説 DVD映像 和鋼風土記

広報 チラシ (予算検討中)


主旨

日本の近代化以前の鉄生産地は、主に中国山地一帯であり、
独自の進化を遂げた「たたら製鉄=和鉄」は、ものつくり立国である日本の歴史文化の大動脈です。

奥出雲、ほうき、備後一帯では、その価値が見直され、
世界遺産登録を睨みながら広域的な活動がされていますが、
同じく大産地であった安芸、石見では風土に埋没して忘れ去られようとしています。

歴史文化は経済活動とは無縁のようですが、
実は、自治体や関係企業にとって、ブランド戦略の主軸となる揺るぎないものです。

この展示会は、広島で盛んな神楽と、そこに潜む鉄との関係を探り、現代への連鎖を感じ、
楽しみながら、地域の誇りと将来を考えようとするものです。

地域住民の方々に、鉄の歴史を知っていただくことが当面の課題と考え、
既存のイベントや神楽公演と連携した、コンパクトなイベント展開を目指します。

また、安芸太田町と北広島町の製鉄の歴史の広域性を根拠に、
行政枠を超えた連携を探るのも、その一環です。

民間レベルで実施した北広島町に続いて、安芸太田町での開催を計画するにつけ、
私個人の努力では限界がありますので、行政、企業、各種団体関係者の参加を願います。

ご検討くださいますようお願い申し上げます。

太田川アクティブアーチ 林 俊一


気付

3月7日(川本、栗栖修司、阿保、小林、林)

イベントの理念

大きな動員を目指すものではなく、過疎高齢化を進行を前提としたうえで、
地域の誇りと自信を再認識するのが目的。




これまでの寄稿文

□ 石井誠治 (NPO広島神楽芸術研究所理事)


 伝説の八岐大蛇(やまたのおろち)

 郷土芸能である『神楽』の演目で全国的に一番知られているのが『八岐大蛇』であり、
 古代の中国山地の営みを現代へ伝えるものの一つです。

 八岐大蛇の演目がはじまると
 高天原(たかまがはら)から出雲の国へ舞い降りてきた須佐之男命(すさのおのみこと)へ、
 翁・手名椎(てなづち)が、大蛇の姿・形について語ります。

 『大蛇(おろち)と申すは、身一つにして頭(かしら)が八つ、尾が八つ、伏したる丈は、百丈に余り、
 背には桧や杉が生い茂り、眼を見れば赤がちの如く光輝きて、腹には何時も血あえただれ・・・』

 このセリフを解釈すると

 『頭が八つ、尾が八つ』は、
 七重八重に果てしなく続く中国山地のことで山々には桧や杉が生い茂る様子を語り、

 『血あえただれ』は、
 山襞から赤黒い色をした豊かな良質の砂鉄がいつも流れ出ていることを伝えます。

 木炭と砂鉄を三日三晩燃やし続けるタタラの炎が夜空を焦がす状態を、
 『赤がち(ほおずき)の如く光る
眼』に見たのです。

 古代の人々は、
 世の中の人と自然の営みすべて『森羅万象』八百万(やおよろず)の神々の営みと信じ、
 大自然の流れに従い『大自然を時に敬い、時に畏れ』たくましく生きたのです。

 山の神・水の神、そして鉄の神、古代の人々の暮らしから創作された物語が、
 伝説の舞となって現代に届けられているのです。



□ 林 俊一 (太田川アクティブアーチ)

 神楽と鉄の物語


 私は安芸太田町加計に育ち、若い頃に、倉敷、沖縄と陶芸の修行の旅を重ね、
 今は風炎窯という陶芸工房を営んでいます。

 たたら製鉄を知ったのは「もののけ姫」がヒットした頃・・・
 「加計隅屋鉄山絵巻」を知ったのは、山陰のフォーラムに参加してから・・・

 地元に眠る宝物を、外から教わったように思う。

 町並み10年、景観100年、風土1000年と申しますが、
 広島の製鉄の歴史は、風土に埋もれて、地元の人にも忘れ去られています。

 かつて、たたら製鉄が盛んであった地域と、神楽が盛んな地域は、不思議と重なっており、
 広島の芸北は、特に神楽が盛んなところです。

 大和朝廷からの使者が神となり、製鉄民が鬼やオロチとなり、
 両者は日本の誕生に深く関っていたのでしょう。

 豊かな森林に抱かれた西中国山地は、日本でも有数のたたら製鉄地帯であり、
 そのDNAは、今も「広島のものつくり産業」に息づいています。

 今回の展示会は、NPO広島神楽芸術研究所と、関係者の長年のご努力と、
 加計隅屋鉄山絵巻のパネル製作を許してくださった加計正弘様のご好意によるものです。

 今回の展示会によって、新たな物語が生まれる気がしてなりません。


 今日的な【たたら製鉄】の意義

 ● 1500年の歴史をもつ、多様な地域性と、人類の足跡としての【物語性】
 ● 大量の木炭を消費した循環エネルギーとしての【森林共生】
 ● 産業遺産=日本の急激な近代化を支えた【スピリット】
 ● エコツーリズムとしての多様な取り組み、現在進行形の【広域連携】
 ● 市民参加型のフィールドワークショップによる【教育力】

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・